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   月の撮影・その1     準備
収録2011/7/19、ブログ初出2010/2/1
<撮影準備に入る前に>

(1)月齢、月の出・南中・入り時刻、天気予報をチェックする。
  満月だと光が全体に当たり、クレーターやデコボコはわかりにくい。
  少しでも欠けていれば陰影がついてわかりやすい。

(2)月の高度は、冬は高く、夏は低い。太陽と逆になる。

(3)快晴の日がいい。肉眼でわからないほどの薄雲でも写真はぼやけてしまう。
  さらに無風か弱風なら、三脚が揺れたり倒れたりせず、冬なら寒さがやわらぐ

(4)月が南の空、高い位置がいい。月の高さが低いと大気の影響を受けやすい。

(5)室内外の温度差が大きい季節(冬や夏)は、機材を外気温に慣らしておく。

(6)大気の状態(シーイング)により、写りが大きく変わる。
  シーイング → 詳細は天文サイトを参照。
  上空の様子はわからないので時刻や日を変えて何回も撮ってみる。

(7)上弦〜満月〜下弦と、撮影時刻が変わっていくので無理をしない。
  半月なら夕方や朝方、空が明るいときに撮影してもいい。


<撮影場所>

(1)安全安心なところ。熊や猪に襲われたり、滑って転ばないところ。
  市街地ならヨッパライにからまれないところ。

(2)極力揺れない場所。幹線道路など小さな揺れでも大きなブレになる。

(3)周囲が暗いところ。
  市街地なら対物レンズと接眼レンズにフードをつけて影響を減らすといい。

(4)エアコン排風、幹線道路、工場など、温度差のある空気や風を極力避ける。
  温度差のある空気を通すとゆらいだりぼやけたりする。

(5)幹線道路などは粉塵をまきあげているので、極力避ける。


<機材>

高品質で高性能な光学機器は高価にならざるをえない。その逆は、屁理屈。
知恵と工夫と根性で低性能をカバー・・・することは不可能。
素性のよい機器ならば、知恵と工夫を駆使すれば、上級機に近い映像が得られるかも。

(1)望遠鏡を使わず、フツーに望遠レンズのカメラで撮影する。
  シャッターをきる時の振動が少ない機種がよい。ミラーや縦走りシャッターなどが振動源。
  一眼レフならミラーアップしたまま撮影できるもの。
  テレコンを使って焦点距離を伸ばしてもいい。

(2)天体望遠鏡を望遠レンズとして一眼カメラに取り付けて撮影・・・めんどくさいのでパス。

(3)望遠鏡を使うには、天体望遠鏡、双眼鏡、単眼鏡、フィールドスコープなど。
  地上用のものは小型化と正立像にするためプリズムが入っている。
  その分だけ透過率も解像度も下がるが、地上では扱いやすい。
  天体望遠鏡はその逆。
  すべてに言えるが、アイレリーフに注意。

(4)望遠鏡の接眼レンズをカメラに覗かせて撮影「コリメート法」
  レンズ径が小さくズーム倍率の少ないデジカメがいいらしい。
  最新型の高性能カメラじゃない方が簡単かも。
  ケータイ電話のカメラでも写せますが。。。

(5)リモコン、レリーズケーブル
  カメラに直接触れずに撮影できるので、ぶれにくくなる。
  なければ、セルフタイマーで。

(6)しっかりした三脚。なるべく丈夫で重たいもの。
  月を追いかけるには雲台は滑らかに動くものがよい。月ってケッコー早い!


<設定>

太陽光が当たっている月の表面は、快晴時の昼間の地表とほぼ同じ。それが真っ暗な空にある。
フツーに撮ると暗い空に引っ張られるので、月に対しては激しい露出オーバー(白飛び)になる。
スポット測光か露出補正。さもなくば露出をマニュアルで。

デジタルズームや過剰倍率などで無理やり拡大して撮影しないこと。
小さくシャープに写せば、トリミングで簡単にきれいな画像が得られる。


(1)カメラや機材の設定

ズーム:光学ズームのみ(デジタルズームオフ)。トリミング/クロップ等は状況に応じて。
ISO感度:最低値に設定。ISO50とか100とか。
ホワイトバランス:白黒に設定。カラー撮影なら晴れに設定。

AF(オートフォーカス):中央1点が使いやすい。MFで無限遠にしてもいい。
AE(自動露出)の測光モード:スポット(なければパス)
連続撮影やブラケッティング:どちらでも。単写でも問題なし。(なければパス)

セルフタイマー:シャッターボタンを押すと機材が揺れる。揺れがおさまる以上の秒数。
   フツーに10秒でも問題なし。リモコンがあればそちらで。
ストロボ:発光禁止。電池のムダヅカイ。
画面:明るさを暗くした方が眼の暗順応を妨げない気がする。

メモリーカード:あき容量をチェック。撮影途中で交換しないで済むように。
バッテリー:残量をチェック(充電しておく)。撮影途中で交換しないで済むように。

三脚:先端の細い脚やエレベータ(雲台下の垂直の)を伸ばさない方が安定する。
   ただし低いと撮影しにくい。
三脚を置く:脚をしっかりと広げる(少したわませるようにしても)
   安定させるためにバッグやペットボトルなどをぶら下げる際はぶらぶらさせない。
三脚の操作:撮影時にはレバーやネジをしっかり固定する。
   カメラの向きを変える時はきちんと緩める。ビミョーに緩めた状態で使わない。


(2)人間の設定

虫除け、防寒、トイレに行っておく、などなど。
明順応(暗い所→明るい所)は短時間だが、暗順応(明るい所→暗い所)は時間がかかる。

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uu   2011/7/19d, 2012/2/26